市民研究ニュース27年5月号再掲載
→P3より続く
いつかだれかがしてくれる?
            主坦研究員 三輪信哉

 学生と話しているといろいろと生活態度が見え
てきて興味深い。
A君 「先生、毎日、どうしても夜遅くまでネッ
トしていて、寝れないんですね。マンションだか
ら、夏も冬も窓は閉めて、ずっとクーラーかけて
るんですよ。田舎はよかったなあ。」
B君 「先生、どうしても買ってしまうんですね。
ネットでいろいろ見ていると、これはイカスと思
ったら、衝動的に服を買ってしまうんですね。ど
んどんたまるんですけど、しょうがないっすね。」
C君 「子供のころは外食なんてなかったんです
けど、親が転職して給料が上がったあたりかな。
しょっちゅう外食するし、また親もどんどん物を
買うようになって、自分がものを買っても親は何
も言わなかったし」
Dさん「そんなこと考えられない。うちの親なん
か、ちょっとでも無駄にテレビをつけっぱなしに
していたら、雷のように怒られたんで、今でも本
当に節約することが身に染みてるわ」。
 どうも育った家庭環境がその子供たちのエネル
ギー資源の消費に影響を与えていることは明らか
である。他方、私が今の大学で教えるようになっ
て四半世紀、その間、小中高の教科書にも地球温
暖化が教えられるようになっている。どの学生も
ある程度のことはネットや教科書で知っているは
ずでもある。
 日々、「エコな生活」「環境にやさしい」という
のはテレビコマーシャルでも流れて頭には入って
いるはずである。でもそれが決して自分の行動を
変えることにはつながらない。染み付いた生活行
動、それを変えることは無理だから原子力発電所
の再稼動も無理はない、あるいはそれを変えるこ
とができないからIT技術でさらに管理して無意
識のうちに節約される技術社会の構築をめざせ、
そのような声が聞こえてくる。
 毎年学生はネットを調べて環境に関する立派な
レポートを書いてくる。決まってその最後のまと
めの文章はこうである。「今回のレポートを通じて
環境を大事にしないといけないとわかりました」
と。でも本当に彼らは生活態度を変えたのか、こ
ちらの責任と反省する。
 毎年毎年、環境本が積み重ねられていく。みん
な環境が大事だと知っている。でも自分は環境を
大事にしない。いつかだれかがしてくれる、いつ
かどこかの街で実現してくれる。そのような流れ
を変えること。大きな大きな課題である。

 再び「普段着のエコ」を目指して
             主担研究員 内田慶市

 今回、土屋先生からのお薦めもあり、再びこの
センターに戻ってきました。あまり役には立ちま
せんが、またどうかよろしくお願いいたします。
 お受けする際に、土屋先生にもお話ししました
が、なにせ私は「文系」の人間で、「環境」とかか
らはほど遠いところにおります。ただ、以前に主
担研究員を務めさせていただいていた時にも同様
でしたが、専門家ではないが、いわゆるレーマン
(素人)の立場から、逆に専門家には見えない部分
について発言できる余地もあるかなと思いお引受
けさせていただきました。
 私がいつも考えておりますので「普段着のエコ」
「文化としてのエコ」ということです。
 地球温暖化対策とか環境破壊等々様々な問題が
あることは重々承知していますが、それらを大上
段に振りかざして論ずるのではなく、先ずは身の
回りのことから地球環境を考えていくということ
を主張していきたいと思っています。たとえば、
東京と大阪で「燃やすゴミ」と「燃えるゴミ」と
いう違いがありますが、実は、ゴミに対する認識
の違いといったことの反映かも知れないとも思わ
れます。あるいは、以前、環境講座でもお話しし
ましたが、ヨーロッパと中国、日本ではゴミ箱(分
別)の形状や色使いに大きな違いがありますが、こ
れなどは、まさに「文化」の差異であり、そうい
った観点でエコを捉えていくといったことも必要
だと考えています。幸い、年間何度か外国に出向
くことがありますので、その経験をこのセンター
にも活かせていければと考えております。
 なお、土屋先生とお話しましたが、これまでの
環境学習講座は市民および小中学校が主要なター
ゲットでしたが、今後は、大学等の機関でも実施
あるいはインターンシップ的なところも企画して
行ければと思っています。
 なにはともあれ、また今後ともよろしくお願い
いたします。
 
 P4 P3に戻る 5月に戻る TOPに戻る 
 .ボランティアTOPに戻る