主 担 研 究 員 挨 拶

市民研究ニュース27年5月号再掲載
活動の拡大を
            総括主担研究員 土屋正春
 ひと口に環境問題とはいうものの、その内容は
ますます多様化し、深刻化している。その多くは
現在の便利生活が原因であるため、人々は獲得し
た生活レベルとの交換関係になる解決方法に向け
て進むことにはためらいを見せている。秋葉原で
ウォシュレットを背負い、大阪駅で炊飯器をスー
ツケースに乗せて運ぶ、そうして自国に帰る旅行
者を実際に眼にすると、この交換関係が容易に進
むとは思えない。
 そして、4日か5日で100万人ずつ増える世
界人口の大半はこの便利生活をめざしていること
もまた確かなことなので、できることは、せめて
問題の深刻化を減速させること位しかないのでは
ないか。いや、減速ならできるのだろうか。便利
生活をリードしてきた先進国民の責務はとても重
い。
 市民研究員が集う私達の研究所では7つのチー
ムがそれぞれの視点から活動をしているが、そこ
では次の世代へのつなぎ方、伝え方をどうするの
かという問題意識が作用している。自然素材の染
め方の説明手順、牛乳パック再利用の工夫、より
効果的なクイズ、などなど。大学の研究者などと
は違う意味合いの議論がされ、日々の活動内容は
オリジナリティに満ちている。学者の議論の受け
売りとは違うそのストックはかなりのものになっ
てきている。
 子どもへの教材などいくらでもあるのではない
か、との意見もあるがこれは誤りで、肝心なのは
自分達の眼と手をよりどころにして自らが考える
伝え方の研究だと言える。そうした問題意識をき
ちんと備えた上で工夫を重ねつつ改善を続けてい
るのなら、減速に向けた立派な市民研究そのもの
でなくて何なのだろう。
 この研究スタイルで得られたノウハウを活かし
つつ次のステップを考えることができるタイミン
グにあることも確かなことで、学習支援の深化と
ともに、企業活動分野との連携などに進む一年間
にできればと考えている。
千里リサイクルプラザ研究所の
     主担研究員に就任して
  小幡範雄
 皆さん、こんにちは。立命館大学政策科学部の
小幡と申します。現在の専門分野は環境政策論、
資源循環論、環境経営システム等です。私と千里
リサイクルプラザとの関わりは、今から30年前に
なる、1986年3月に策定された「吹田市廃棄物処
理基本構想・基本計画−21世紀の循環社会開発を
目指すモデルプラン−」潟vランド研究所の策定
のお手伝いを少しさせてもらってからになります。
この報告書には、循環社会開発センターは選別破
砕処理機能、回収資源の物流センター機能、市民
リサイクル活動センター機能、循環社会開発研究
所機能の4つの主要機能で構成されるとある。千
里リサイクルプラザの原型であるような気がしま
す。循環社会開発研究所が千里リサイクルプラザ
研究所ということになるのでしょう。
 私が担当させて頂くのは、手作りおもちゃPT
とエコ体験PTです。実践的なプロジェクトもわ
ずかではありますが経験していますので、メンバ
ーと一緒に考え、実行し、評価が出きるように頑
張って行きたいと思います。
 現在はリデュース・リユース・リサイクル(マ
テリアル、サーマル)の3Rを避けて生活すること
は難しいものになっています。この3R以外にもリ
フォーム、リペアー、リファインなどがある。も
う贅沢はすこし慎み、無駄もなくし、シンプルに
生きる道も探したほうが良いのかもしれません。
物質の循環は入口(INPUT)、出口(OUTPUT)、変換
の3つの部分で考えると分かりやすくなる。2011
年では日本は入口として15.7億トンの総物質投
入を行い、出口の一つは480兆円のGDPを稼ぎ、
もう一つは5.6億トンの廃棄物の発生させている。
しかし、処理されて最終的に埋め立てられる廃棄
物は1700万トンとなる。これが本当の出口になる。
変換はリサイクル量の2.4億トンとなる。
 私たちは入口の使う物質はこれで適切なのか、
果たして経済成長をひたすら求めGDPをこれだけ
稼がねばならないのか、排出した廃棄物はひたす
ら燃やして量を少なくすることがベストなのか他
に考えることはないのだろうか。資源を循環させ
る方法はいくつもあると思われる。
 千里リサイクルプラザでの活動が持続可能な循
環型社会の形成に少しでも貢献できるように、皆
さんと一緒に頑張りたいと思います。
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