すいた環境連続セミナー2015
   第2回「フューチャーアース〜未来の設計図〜」
   10月10日 講師 東京大学名誉教授・国連大学元副学長  安井 至氏
                                         エコイベントPT  五十川 有香

 国際連合大学の名誉副学長であり、日本におい
ても環境省や文科省、最近では、経済産業省等に
環境科学の専門家として貢献されている先生です。
国際経済の視点から日本の数値目標、様々な指標
によりお示ししていただきながら、今後の自分た
ちの行動について考えていくための定義をお話し
していただきました。
  セミナーの様子 
 
【地球の歴史から】
 人類の歴史は、人間となって20万年、サルから
分かれて700万年。地球の歴史からみると、とて
も短い。人口の変化と食料は親密に関係している。
人類最初の富は、食糧で図っていた。産業革命に
より、人口が増え、その後もエネルギーの大量利
用によって経済も発展してきたが、近年は被害者
意識を持つ人々が増えてきた。
 
【現代ビジネスと環境問題】
それは、現代ビジネスもリスクを考える時代とな
ってきたという。今年のダボス会議において、最
大リスクは国家間紛争といい、気候変動や水関係
リスク、生態系の崩壊もリスクが高くなっている
と分析されている。これらは、化石燃料が最大の
原因だという。また、エルマウ・サミットにおい
ては、「2050年までにCO2 80%削減を提示し、エ
ネルギー部門の変革を図ることにより、長期的な
グローバルな低炭素経済の実現をする」と日本も
宣言している。

【化石燃料の増加のリスク】
化石燃料を使うと、CO2の発生により、本来は
放出しないといけない太陽からの熱エネルギーが
たまり、大気が温まる。継続していくと海水が2℃
上がる(約1,000年後)。それにより海面上昇10
mとなると、これまで住んでいた土地がなくなり、
人は住めなくなる。これを
移民の受け入れの基準とする。経済面でこのよ
うな温暖化問題を交渉の場に使うという。

【21世紀に求められていることは】
 再生可能エネルギーだけで過ごそうとすると、
約20年間に投資として、200兆円かかる。果たし
て厳しいのか。現在の化石燃料等に対する費用を
今までどおり20年使うとすると約500兆円となる。
費用面を考えると安く、可能性もある!ただ、石
油等に関わっている人たちは、生活が困難になる
ため、バランスが大切という。「21世紀に生まれ
たことを不運に考えてください」と先生の言葉の
後に、これまでは化石燃料枯渇を危惧されていた
定義が、実はすぐには枯渇しないことが指標によ
り提示された。「今まで信じられてきたことが覆さ
れようとしている。エネルギーは余剰している中
でいかに、市民のイノベーションの変化により使
い方を考えることが大切であり、これからは、市
民がどういう哲学を持ってどう動くのか。フロー
経済へ転換していくことが求められているのでは
ないか。」と言われた。
最後に安井先生から、「皆さんはどのようなエネル
ギーを望んでいるのか」という投げかけがありま
した。エネルギーの使い方、今後の可能性を自分
たちで考え、行動していきたいものです。エネル
ギーのあるうちからリサイクルを!
P4   →5  11月に戻る TOPに戻る