第3回市民研究員研修講座
   「学校で地球温暖化授業を展開するにあたって思うこと(三輪主担)」
                                          温暖化と生活PT 築山 弘
 大学の先生が小中学校の授業を受け持ったらど
うなるか?こんな面白い試みが、千里が丘小学校
と吹田第一小学校での地球温暖化授業で図らずも
実現し、児童生徒は大喜びだったという(10月号
掲載)。それを受けて10月3日、三輪主担(大阪
学院大教授)は第3回市民研究員研修講座で、「ま
さに<目からうろこ>の未体験ゾーン。みんな、
とても真剣。その熱気に答えようと戸惑い、緊張
しっ放しでした。大学生の方がよほど楽」と笑い
を誘いながら子供教育の必要性を訴えた。
           ◇
 三輪主担は、地球温暖化に強い危機感を抱き、
大学、企業などの講演・講座で警鐘を鳴らし続け
ている。
 研修講座では冒頭、地球温暖化の動向に触れ、
「2100年頃には温度が最大5℃ほど高くなり、海
水面は80センチ近く上昇すると予測できます」とプロ
ジェクターを使って分析。「吹田市の気温も最近
20年間で、平均気温が1.4℃、最高気温が4.2℃
上昇。サクラの開花時期は50年前と比べ1週間ほ
ど高くなっています。CO2の増加などが原因。洪
水、伝染病などが心配です」と持論を展開した。

  研修講座の様子

 地球温暖化の話は奥が深い。環境学者の一人は
「ある意味、人間の欲望との闘いだ。気温の上昇
は産業革命を機に進み、経済発展を優先した結果。
地球は悲鳴を上げている。だから、欲望を抑えな
ければいけない」と話す。
 その一方で、「CO2ばかり悪者にする傾向がある
が、消滅したら気温はマイナス19℃になって人間
は凍え死ぬよ。北極海の氷がとければ、船の航行
に便利。経済的効果は大きい」という声もある。
          ◇
「しかし、地球の温暖化は、もはや限度にきてい
ます」と三輪主担はきっぱり。12月、パリで開か
れるIPCCでの各国合意に期待を寄せた上で、吹田
市の2050年までの温室効果ガスの削減目標75%
以上(1990年比)については「国にもない基準」
と高く評価した。
 では、温暖化対策として何が一番有効なのか。
「ここまでわかりますか?」「眠くはないです
か?」三輪主担は聴衆22人に何度も気を遣う。
 講義開始から1時間過ぎたところで、本題の「学
校で地球温暖化授業を展開するにあたって思うこ
と」に触れ、子供の教育こそが最も有効な手段と
し、京都市の取り組みを紹介した。
 「COP3(1997年12月)以後、市教委が積極的
に環境教育を取り入れ、子供たちを対象にしたエ
コライフにチャレンジしています。まず夏休み前、
各小学校で地球温暖化の現状をスクリーンに映し
出して分かりやすく説明します」
 「休み中は各家庭で子供たちがエアコン、テレ
ビなどの電化製品の省エネに取り組む。さらに、
買い物のお手伝いでマイバックを持参、自転車を
利用して身近なエコライフを楽しみ、その結果を
こども版環境家計簿に記入。2学期になると、取
り組んだ結果をもとに、グループで話し合い、エ
コライフを続けるコツを学んでいます。さすが環
境先端都市です。学ぶ点が多々あります」
          ◇
 今回の学校での温暖化授業は、吹田市でのモデ
ル作りに向けた実験的な試みだったが、今後の課
題は、いかに多くの学校にこの環境教育を広める
ことができるか。
「市教委を中心に学校、アジェンダ、プラザなど
が連携する仕組みづくりが必要」――三輪主担の
研修講座は最後まで熱かった。
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