市民研究ニュース27年7月号再掲載
2015 地球温暖化防止点展を見学して
             温暖化と生活PT 築山 弘
 温暖化と生活PTは、三輪主担を含め、研究員は
わずか5人。今年発足したばかりだが、長年、温
暖化問題に取り組んできた名物研究員が一人参加
しており、レベルは高い。
 そのエキスパートから「近く東京で面白い温暖
化のイベントがあるよ」とのアドバイス。折しも、
所用で会場近くに滞在予定とあって、「地球温暖化
防止展」を見学、その中で開催の「STOP地球温暖
化!推進フォーラム」に参加することになった。
 会場の様子
 5月26日朝、りんかい線国際展示場駅に着くと、
会場の東京ビッグサイトまで約500bにわたり人
の列が続いていた。どの顔も生き生きとし、真剣
そのもの。それもそのはず、この防止展はNEW環
境展と同時開催8回目で、国内外から627社が4
日間出展して、環境機器・サービスを競い、交流
するアジア最大級の環境展示会。
 小間数はなんと2162。企業の意欲がわかる。環
境省、経済産業省、各自治体から廃棄物処理・リ
サイクル機器、太陽光発電、資材、道路舗装、屋
上緑化、遮熱など省エネ産業がズラリと並ぶ中で、
今年は再生可能エネルギー固定価格買取制度への
関心が高まり、木質バイオマスや有機性廃棄物系
のバイオガス技術を扱う業種が目立っていた。
 鋭い質問をする来場者。汗だくで応答する出展
者。その温暖化談義の熱気のせいか、会場は少し
蒸し暑く、説明役のスタッフに聞いてみた。
 「冷房を効かせて温暖化対策は如何なものかと
思い、空調を少し調整しました」と笑顔を見せ、
「今年は12月、パリでCOP21が開かれますからね。
気候変動国際交渉が始まって以来の大きな転換期
で、国も企業も必死なのです」と説明した。


 一方、フォーラムは公開ディスカッション「地
球の未来と私たちの選択」でスタート。冒頭、国
立環境研究所の江守正多氏は「温暖化対策をしな
ければ、今世紀末には世界の平均気温は現在より
4℃アップします。熱波、大雨、干ばつ、海面上昇
が地球を襲い、熱中症が多発、テロ、難民が増え
る」と断言。最高でも2℃以内に抑える必要があ
るとし、2050年までに、CO2の排出量を現状の半
減、今世紀後半でゼロかマイナスにすることを、
COP21で各国が合意し、議定書で宣言することが
急務と警告した。
 東日本大震災以降、原子力反対の声が強まり、
再生可能エネルギーへの転換もスロー。削減に対
して、後進国の反発も根強い。大丈夫だろうか?
 パネリストのイオン(株)プループ部長の金丸
治子氏は「企業も低炭素社会実現のために、様々
な努力を重ねています。その一つが鉄道利用の共
同輸送。さらに、自然冷媒の冷蔵ケース。レジ袋
使用量削減、植樹――」と取り組みを披露した。
 第2部では、環境省調整官の名倉良雄氏から
CO2削減の秘策が飛び出した。
 「排出企業に炭素税をかけるという案はいかが
でしょうか」と会場に問いかけると、あちこちで
「えっ」と戸惑いの声。「今のレベルの生活を維持
しようとするならば、排出削減と技術革新以外に
妙案はありません」と続けた。
 秘策は、現在、北海道苫小牧市で進められてい
るCCS実証プロジェクトだった。CO2を地中に
埋め、閉じ込める案で、来年から年間10万トン以
上のCO2を注入予定という。
 「ぜひ実現してほしい!」そんな思いで翌日、
もう一度、会場をのぞいてみた。入り口で、前日
の説明役スタッフとぱったり。
 「このイベント、いかがですか?」と問われ、
再度「内容も会場も、アツイです」と答えると、
「2℃以上の上昇で、日常生活に重大な影響が出る
ことを皆さん、どこまで真剣に考えているのでし
ょうか?」と首をかしげた。ドキッとする一言だ
った。
          ◆
 千里リサイクルプラザ研究所 温暖化と生活
PT(06−6877−5300)は、一人でも多くの参加
をお待ちしています。考えましょう!
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