市民研究員  武本 睦代       
 食糧の宝庫。都市を少し離れると、田園地帯、果樹園地帯、森林地帯、放牧地帯と、農業地帯が続く。食糧自給率40%の日本とは大違い。農産物の生産にぬかりはなさそうだ。作物の生長を妨げる外灯は、高速道路でさえ全くない。作物に欠かせぬ水路の確保には手抜かりなく、山頂から流れ出る水、地下水、雨水の貯水などが上手く活用されていた。

*広大な畑
 青い空と一体になって見える田園。所々ポプラ並木や石で区切られた1枚の畑の面積は、ゆうに北海道の畑の5〜6倍はありそうだ。「おっ、すげえ。負けた」と、北海道の農場主が、思わず声をあげた。
 適度な湿り気のある畑を、トラクターの走った跡が幾筋もの線を描いている。
 「小麦が間もなく、緑色の芽を出してくるでしょう」と、ガイドは話す。
  広大な田園風景
   広大な田園風景
*手入れの行き届いた果樹園
 畑はぶどう畑に、変わってきた。余分な小枝は刈り込まれた幹が、真新しい紐でしっかりと杭に結わえられている。手入れの行き届いたぶどう棚。収穫の喜びが目に浮ぶ。ちなみに、2003年の干しぶどう、アンズ、イチジク、ヘーゼルナッツの生産は、トルコが世界1位とのこと。
*放牧
 バスが松林をぬけると、そこは草原。丸々
と太った羊、がっしりとした牛が群れをなしている。思い思いに、ゆったりと草を食むそばには、丸太を手にしたもう若いとはいえない牧童が寝ている。都会の喧騒とは無縁の世界がここにはある。
  
*自然を生かした家屋
 花や野菜に囲まれた、耐火赤レンガの家々の屋根には、パラボラアンテナと温水器がある。家の西側にはぶどう棚。夏の日よけと、ティータイムの場であろう。農機具が見え隠れする倉庫の前には、わらが積んである。放し飼いのニワトリが、コッコッコと飛び回る以外は、とても静かだ。
  トラクターで小麦を収穫
  トラクターで小麦を収穫

 色とりどりの料理
 豊富な種類の野菜や果物、肉、魚と素材にはこと欠かない。オイルをみても、菜種、オリーブ、ひまわり、棉、ラードと多品種。粘りのあるヨーグルト。ジャムに加え蜂蜜、蜜蝋など、日本ではあまりお目にかからないものまで並ぶ朝食。あれもこれも食べたいが、これ以上お腹は受け付けない。残念!
 P5 8月目次に戻る  TOPに戻る
  
トルコ紀行@ 〜自給自足〜