日本ではあたりまえの、「いつでも、どこでも、誰もが水をふんだんに使える」ことが、
どれほどありがたく贅沢なことか!安心・安全な水は日本が世界に誇れるものの一つではない
でしょうか!
     
 ☆不毛の地
 真っ青な海面に輝く波の美しさに見と
れたのも数分間。アフリカ大陸の南東上空
からは砂礫(されき)の地表と、国防食色に風化し
た小山のみ。飛行機からバスに乗り継ぐが、
そこからの旅でも植物や動物を目にする
ことは皆無だった。アラビアンナイトの隊
商を思い出した。「ああ、なんて彼らは勇
敢であり、素晴らしい知恵と頑丈な心身を
もっていたのであろう。星と月と太陽を手
がかりに、岩と土ばかりを何日も旅するの
だ。命にとって必要不可欠な食べ物と水の
ない世界を旅するなんて。私には到底出来
ない」。
 
☆ 心安らぐ沙漠地帯 
 ピラミッドを眺めていた。遠くかなたか
ら砂塵を含んだ風の音。そよそよでもない、
さわさわでもない、空と大地と空気の作り
だす自然音。それは喧騒に疲れていた私に
とって身も心も癒すひと時でもあった。
  
 ☆水辺に集う命
 宿泊地アスワンに到着した。真っ青な空、
軽やかな風、生い茂る樹木、豪勢な白亜の
家々。石畳の道の両側には緑の芝生と色鮮
やかな花。まるで南国の楽園を思わせる。
 目線を移すとアスワンダム。湖面を漂う
何艘かの小船。スイスイとツバメや塩から
トンボが飛び交っているではないか!そ
れだけではない。木々の梢からは雀の
姦しい(かしましい)声に混じり、蜜蜂の羽音も聞こえる。
 車窓の荒涼とした風景とは正反対の、生
命の躍動に嬉々とする姿があるではない
か!命あるもの水に集う。
  
 ☆アリさんの言葉(現地のガイド)
 食事の合間にガイドのアリさんが、「こ
の国の水不足は深刻です。地球温暖化が進
むことで、砂漠化も進んでいます。また、
アスワンダムが出来ナイルの洪水はあり
ませんが、肥沃な土地が失なわれました」
と、話されたことがいつまでも気がかりだ。
   
 灼熱の地の水事情の一端でもご報告できればと書き始めたレポートでしたが、日本と他
国の水事情をどのようにご覧になられましたか?稚拙ではありましたが、お付き合いいた
だきありがとうございました。皆様のレポートを楽しみにしております。  文責 武本 睦代
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エジプト紀行 「水は生命の源 パート3」