水は生命の源 パート2

 前回は口をすすぐのさえもペットボトルの水
を使ったという「水道水が危険」というお話を
させていただきました。今回は、降雨量の少な
い国ゆえに出くわした風呂やトイレでの出来
事を話させていただきます。



*断水騒ぎ
 ホテルでのこと。「まず一風呂浴びて」と、
バスタブにお湯をはっていたところ、湯をはる
音がしなくなった。どうしたことかと浴室を覗
くと、湯が出ていないのだ。「お風呂の湯が止
まったので、見に来てほしい」とフロントに電
話をかけると「お客様がいっせいにお湯を使わ
れたので断水したのです。しばらくお待ちくだ
さい」とのこと。
 それから5分ほどしてのことだ。リーンと電
話が鳴る。「今断水しています。ホテルのタン
クにお水が溜まるには、まだ1時間以上かか
るようです。申し訳ありませんが、夜の観光も
ありますのでお食事を先に済ませ、夜の観光か
らお帰りになられてからご入浴にしてくださ
い」と、謝りとも伝達ともいえる添乗員からの
電話だ。
 夜の観光でわかったことだが、同行者の中に
はホテル到着と同時に、入浴や洗髪を済ませた
人がいたのだ。「ああ、部屋からの眺めなど後
にすればよかった」と悔やんだものの、午後
11時の入浴は心地よかった。
    
 夜行列車での断水。ホテルのようなことがあ
ってはと、座席に荷物を置くなり、急いで水道
の栓をひねった。ポトポトと数滴の生ぬるい湯
が出たのはよかったがそれっきり。待てど暮ら
せど何も出てこないのだ。車掌に「水が出ない
のですが?」と尋ねると「いつもの断水です」
と、ケロッとしている。しかたなしに日本から
持っていったオシボリを使ったが、なんとも釈
然としなかった。
*水を流さないで
 レストランでのことだ。添乗員の第一声は
「トイレの水を流すのは、6人目の人にして下
さい。もし皆さん一人ひとりが流されたら、タ
ンクの水は空になってしまうのです。タンクに
水が溜まるには相当時間を要するのです。汚い
と思われるかもしれませんが守ってください」
と、水の使用に制限があった。



*水と一緒に流さないで
空港で添乗員がこんな注 意もした。「トイ
レの汚物入れはナプキンだけのものではな
いのです。使用済みの紙は備え付けの袋に入
れて、汚物入れに片付けてください。紙を流
すには多くの水を必要としますが、水量が豊
かではない国ですからくれぐれも注意して
くださいよ。トイレが詰まったり、水が出な
かったりになるのです」。
 案の定、ホテルのトイレでは、アラビア文
字と英語の注意書きの入ったビニール袋が、
用意されているではないか。流すことに慣れ
ている私にとって、使用済みの紙を袋に入れ
ることには抵抗があった。しかし「郷に入れ
ば郷に従え」と……。
 *水量不足 
 そういえば小学校のトイレで紙だけが残
っていることがしばしばあった。そこで、実
際に水量と紙の関係をみようと試みた。軽く
ペダルを踏むと水は流れるが、紙だけが残る。
再度力強くペダルを踏むと、今度は紙が水と
ともに流れた。子どもたちが流し忘れていた
と思い込んでいたが、そうではなかった。力
の弱い低学年の子どもの力では紙が流れる
だけの水量が出ていなかっただけなのだ。

*砂漠とは年間の降雨量200ミリ以下で不毛の地。
           (文責) 武本 睦代
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