第二回廃棄物法制度に関するセミナー「循環型社会形成に力を入れる日本」

                                                                         古紙回収実態調査プロジェクト 武本睦代      
 4月2日、プラザの委嘱式後「第2回廃棄物セミナー」に参加するため、大阪市立大学文化交流センターへと急いだ。終了時刻は5時。パンと飲み物を買い込み、交流センター受付の片隅で味わうこともなくお腹にいれた。定刻5分前の会場は満席状態で、私たちは分散してやっと座れた。

第1部「廃棄物関係の法律制定・改正等について」
講師 滋賀県立大学環境学部教授 土谷正春氏
1、汚物の処理時代から廃棄物処理の時代へ

 汚物処理を中心とした清掃法(昭和29年)が制定された。その後、経済成長に伴う廃棄物の増加と質的変化に伴い昭和45年に廃棄物法が制定された。廃棄物にも責任が伴う時代となり、一般廃棄物、産業廃棄物と区分されるようになった。また、企業活動に伴う公害問題や生活環境に及ぼす廃棄物問題の浮上から、廃棄物処理責任を事業者や国民にも求め、各種規制がしかれた。

2、環境基本法誕生(循環型社会の形成)
 近年、処分場問題や、資源枯渇問題、健康問題地球温暖化問題などが、重要課題とされてきた。その問題解決策として環境基本法(平成5年)や、循環型社会形成推進基本法(平成12年)の制定で、廃棄物の減量・適正処理の促進が盛り込まれた。
 従来の廃棄する発想から、循環資源として再使用、再生利用、熱利用、熱回収にあてるという発想の転換も提示された。また、国、地方公共団体、事業者、国民の責務や役割も明文化され、自らが循環型社会形成に協力することを示唆している。

* 廃棄物処理の優先順位
[1]発生抑制→ [2]再生使用→ [3]再生利用→ [4]熱回収→ [5]適性処分  
          
第2部「変化しつつある廃棄物行政について」
講師 環境省大臣官房 由田 秀人氏
1、三位一体改革への環境省の対応

 昨年6月の閣議の三位一体改革で、国庫負担金
 
改革と税源委譲実現が決定された。8月には国庫補助負担金として、「廃棄物処理施設整備費補助金」が盛り込まれた。環境省としては、国と地方が共同して循環型社会へ取り組むことが重要と、「循環型社会形成推進交付金」の創設を提案した。そして11月の三位一体改革政府・与党検討会の結果、この提案が制度化された。

2、循環型社会形成推進交付金制度
・目的 廃棄物の3Rを総合的に推進するため、市町村の自主性と創意工夫を生かす。広域的・総合的に廃棄物処理・リサイクル施設整備を推進し、循環型社会の形成を図る。
・交付対象 人口5万人以上、又は面積400ku以上の計画対象地域。(特例 沖縄や離島、奄美群島、過疎、山村、半島地域、豪雪地域)
・交付額 対象事業の1/3を市町村に一括交付する。但し、先進的モデル施設として高効率原燃料回収施設に対しては、1/2を交付。
特徴
・ 地方の実情に即した柔軟な計画と予算配分
 写真 土屋先生の公演 
    写真 土屋先生の講演
 ごみを法制度の面から学ぶ機会が得られ、廃棄物の内容の変遷が理解できた。また、政府関係者からのお話を聞くことで、マスコミや書物では得られない国の取り組みを知ることができた。廃棄物の取り扱われ方の変遷と、現状把握をいろいろな角度から学べ、大変有意義な半日でした。
以上
P4 5月目次に戻る  TOPに戻る
☆B4設定にしてください。