京都府夜久野町ディスポーザ視察の報告
(筆責:福益 正恵)
行先 :京都府天田郡夜久野町 
期 日:3月3日(木) 
参加者:5名(三輪先生、三原、楠本、池渕、福益)

 夜久野町は京都府の北西に位置し、東西9km、南北12km、総面積100.99km2、そのうち約8割を山林が占め、農林業を基幹産業とした集落が散在する町です。平成4年に生活環境の改善を図ることを目的に水洗化計画を策定し、町内全戸数の約70%を集合処理水域(農業集落排水事業)、残りを個別処理区域(合併処理浄化槽設置事業)として町全域の水洗化の計画の一環としてディスーポーザ設置が計画、実施された。
 寒さが予測される中、重装備で大阪から4名、京都から1名それぞれに急行にて福知山へ、福知山でドッキングして各駅停車にて下夜久野駅へ。11:29に到着。駅を出るとすぐ目の前に役場の建物が目に入る。環境整備課は別棟にあり、訪問を告げると、話をお聞きする予定の矢野氏は急な会議で午前中福知山市へ出張中とのこと。昼食を先にすますことになり、町の推薦の「道の駅 農匠の郷やくの」へ案内していただいた。小高い広々としたところに、郷土資料館を中心に、温泉やお茶室やレストランが点在し、時間があればゆっくりと楽しめるような場所でした。戦国陣屋風の建物の「レストランやくの本陣」にて名物のお蕎麦を食し、心を残しながら役場へ引き返した。
 会議室にて、沢山の資料をいただき、矢野氏のとても丁寧な説明を聞き、現場へ案内していただいた(写真参照)。施設の概要は下記の通り。

施設名:上夜久野地区農業集落排水施設
所在地:夜久野町字平野小字下島651番地
処理人口:1,570人(440戸)
排除方式:分流式
対象排水:し尿及び生活雑排水
処理水量:日平均424m3/日
処理施設:処理方式 回分式活性汚泥法式
コンポスト施設:型式 デルコンポ DC-2000型
       処理方式 脱水乾燥機
管路施設:・管種・管径;円形管/自然流下
       Φ150mm、Φ200mm圧送
       Φ50mm、Φ75mm、Φ100mm
       ・ 延長 16,865.85m 
       ・中継ポンプ 22ヶ所
計画水質:流入水質−BOD200mg/l 処理質−
       BOD20mg/l以下


供用開始:部分供用 平成11年7月1日、全面供用 平成12年4月1日

生産コンポスト:「グリーナップやくの1号」と命名され、農林水産省の肥糧登録される
総事業費:18億3千万円

 
 コンポストの施設の前にて(三原撮影)
 経済的な検証として、余剰汚泥焼却の場合(福知山市に依頼して9000円/t)とコンポスト化(2900円/t)の処理費用比較をし、コンポスト化が住民意思として選択された。
現在、ディスポーザ設置世帯は全世帯の3割、500台。設置後による生ごみ減量の検証として、1世帯あたりの可燃ごみ発生量は9.3kg/月、生ごみ発生量は2.85kg/月・世帯(これがディスポーザ処理量)となり、環境省の統計結果より可燃ごみの約30%が生ごみという数字と概ね一致している。生ごみを加えることにより、また、ペレット状に固めることにより(取扱いのため)、汚泥臭がなくなったとのこと。
ディスポーザ(生ごみ粉砕機)の設置条件があり、各戸の機械には通しNo.がつけられ、町により厳格に管理されている。また、最終的に生産されるコンポストは、1世帯20kg/年間、全戸引取り義務がある(不要でも)。よって、自分たちの排出したものが、自分たちに返ってくるので、皆が厳格に規則を守っているという好循環になっている。また、平均年齢が徐々に上がりごみ排出の手間が良くなった(生ごみのない分軽くなる)、ゴミブリ・ハエがいなくなったなど、利便性がよくなり、最終的には町づくりの一環として良い環境を持続する方向で進んでいる。「生ごみは資源」という観点から、使い方によればこれもまた選択の一つであるかなあというのが私の感想である。

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