すいた環境連続セミナー2015  第4回  10月31日(土)
   里山資本主義からはじまる北摂地域戦略 
     講師  株式会社日本総合研究所  主席研究員  藻谷 浩介氏

                                                 手つくりおもちゃPT  米田廣光
 今回は多くのテレビ等で経済番組でのコメンテ
ーターとして発言しておられる藻谷浩介氏の講演
とあって多くの方が来場されました。
 氏は先ずスイス、チューリッヒにあるタメディ
ア本社の木造の大型6階建てビルをパワーポイン
トで説明された。設計は脚光を浴びている坂茂氏
で大きな柱・梁は集成材(板材を接着剤で貼り合
わせより大きな断面に再構成して作られた木質材
料)を使い、窓ガラスは合わせガラスで断熱を確
保している。
  6階建て木造建築梁構造写真(スイス)と藻谷講師
 最近は木造大型建築が国内でも施工されている
のでその例として山形県南陽市の耐火木造技術を
取り入れた文化会館(地上3階、地下1階、床面
積5900u)や岩手県住田町の木造庁舎(2階建て、
2900u)を写真により如何に木造建築が有効かを
説明された。それは木造だと地元の木を地元で製
材、集成材加工をして搬入するので運賃がうんと
安くなり、結果住田町庁舎の場合でコンクリート
だとおよそ20億円のところ12億円で出来たそう
だ。寿命の点でもコンクリートはせいぜい50年〜
100年に対し法隆寺や東大寺などで分かるように
木造のほうが永く持つそうである。ではなぜ木造
の大型建築が嫌われるのか。氏によると70代の男
性はとにかく鉄とコンクリートを好むかららしい。
 これら中層の木造建築が耐震試験で保証されて
いることや木造が壊れにくい理由として6割も軽
いこと、寿命が来た時に燃料として活用し廃材が
でないこと、且つ燃焼時のCO2は生木の時の光合
成でオフセットされCO2は増えないとされ、火災
についても集成材は燃えにくくコンクリート建築
より火のまわりが遅い等の長所が有るとのこと。
 
 では森林の管理についてはどうであろうか?
岡山県真庭市の銘建工業は集成材メーカーである
が市内の製材所からの廃材おが屑を集め木質ペレ
ットにしてバイオマス発電を行い自家発電と同時
に売電しておりその発電量は市民の使用量の1.3
倍である。そのため林業も雇用が増え森林も管理
される。その他複数の地域で薪や木質ペレットを
作り同時に薪ストーブやペレット用温風ファンヒ
ーターを製造販売しながら森林の管理を使命とし
ている企業もある。
 話を変えて聴衆へのクイズ。「皆さんは日本の国
際競争を考える時どの国から利益を得てどの国に
利益を持って行かれているか分かりますか」以外
な事に中国とはトントン、利益を得ているのはア
メリカ、オランダ、ドイツ、韓国およびアジアの
新興国であり取られているのが中東、オーストラ
リア、マレーシア、ロシア等資源輸出国である。
この事実を知ってメディアでも論争すべきだ。
 「何を言いたいか・・・・輸入超過の元凶は燃料・
資源である。だから皆さんに勧めたいことは少し
でも燃料代のかからない社会を作ることである。」
別の資料で、2014年の化石燃料輸入額は原油高騰
が収まった2009年に比べ丁度2倍に膨らんで27.7
兆円であるが輸入量は原発停止にもかかわらずや
や減少しておりその理由は輸入額の増加は原油値
上がりと円安の影響であり、量の微減は皆が省エ
ネルギーに取り組んだからで、原発の停止が輸入
額増加の原因ではない事を認識すべきである。
 大阪・吹田市でもこれからはコンクリート家屋
でなく集成材を使った木造近代建築の時代である。
吹田に木はなくても箕面や能勢から運び地域で金
を回すこれらを氏は里山資本主義、エネルギーの
大逆転と言う。オーストリアは木材先進国であり
林業の年収は1000万円である。「日本には木が多
くあり、需要があり、木の文化がある。里山資本
主義で化石燃料依存症を緩和し自給率を上げてい
く事が大事である。農業も同じで、菜園農作物を
物々交換しゼロか100でなく少しでも自給率を上
げていく事が大事である」と教わりました。
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