主坦研究員内田慶市先生による講義の概要と私の感想
「大震災から学ぶこと――ライフスタイルの見直しエコ」  市民研究員 金子幸平

 内田先生の講義の内容
 内田先生の講義は中国文化の研究者らしく孟子の儒教の教えから始まった。この地上に「惻隠の情」は未だ有ったと。今年3月11日の東日本大震災で被害に遭われた方々へ思いやりの心を持った人が、日本だけでなく世界中にたくさんいることを思い知った。ボランティア活動、世界中からの義援金とたくさんの励まし。人の優しい心はまだ失われていない。そして、被災者の方々の辛抱強さと優しい気持ちに感動させられた。
 そもそも、この大震災は「天罰」であるはずでなく、地震と津波は「天災」で、原発事故は「人災」だ。原発事故に関して、故高木仁三郎氏によると(資料=日本物理学会誌Vol.50.No.10.1995核施設と非常事態)原発は地震に弱いと警告している。それにもかかわらず、国や電力会社は「原発は地震に対して絶対に安全」と自信を持っていた。これまで原発を推進して来た人は、この原発事故をしっかりと受け止め、反省してほしい。また、考えうるあらゆる想定に対して対策を講じることが大切だ。
 この度の大震災によって様々な影響が出ている。例えば@外国人留学生の減少A東京が節電によって暗いBACテレビコマーシャルなど
 今後、原子力発電に頼らない世の中になると、@今の便利さが無くなるA経済が悪くなるB今の繁栄が失われるなど、私達はこのような状況になることをOKとして受け入れることが出来るのか。便利さと命のどちらが大切なのだろうか?
 政府は電力不足を乗り切るために、家庭での節電対策としてエアコン設定温度28℃などの7項目で15%節電を打ち出した。エアコンが無い時代、昔の人は様々な工夫をして夏の暑さをしのいで来た。そのような昔の生活に戻しても良いのではないか。例えば、縁台での夕涼み、すだれ、打ち水など。極端には「蛍の光、窓の雪」のような生活を思い出してはいかがとのご提案。
 最後の〆は、また中国文学の先生らしく、李白の詩「静夜思」を引用されて講義を終わられた。いや、最後はくるくるプラサの活動がすばらしいとのお世辞があり、この活動を世界に発信すべきと強調された。
 李白の詩「静夜思」
床前明月光 凝是地上霜 挙頭望明月 低頭思故郷
 
 
私の感想
1. 儒教の「惻隠の情」すなわち"思いやりの心"は、孟子に言われなくても、人は生まれながら備わっているもので、昔も今も未来も不変だと信じています。
2. この度の大震災による福島第一原発事故の原因は、大地震と、さらに追い討ちの大津波によるものだと思います。日本の原子力発電所は地震に対して万全に建設されているようです。津波の被害を受けなかった福島第二原発と女川原発は幸いなことにマグニチュード9.0に耐えることができました。悲しいことに、福島第一原発は大津波によって非常用電源がOUTになったり、冷却水用海水ポンプがOUTになったのが痛かった。5月15日付毎日新聞朝刊によると、(独)原子力安全基盤機構が2007年に「原発は大津波があぶない」と警告していたとのこと。国や東電がこの警告をなぜ無視したのか・・「まさか」と思っていたのでしょう。この世の中、そして人生に「まさか」とか「なになにしてタラ」とかがたくさんあって私たちは悔しい思いをすることばかりです。
3. 節電・節電と言うは易く、行なうは難し。
 私達の生活スタイルが変化したことで、昔の生活にもどすことが難しくなっています。例えば、私は省エネ集合住宅に住んでいるので、夏の昼間は窓を開放して風を入れることが出来ても、夜間は窓を締め切って寝るので密閉状態になる。真夏の熱帯夜はどうするの? そして、私が太陽光発電設備を個人的に取り付けたいと思っても、集合住宅では勝手に出来ない。せめて、家の照明は蛍光灯からLED電球に替えることが出来るが、はたしてどれだけの人が実行するでしょうか。現に、くるくるプラザにしてもLEDに替えたら良いことは分っていても予算が無いから実行は難しいでしょう。まあ、私達に出来ることは、パソコンやテレビのつけっぱなしを止めるくらいでしょうか。

 私は、福島第一原発事故が世界の叡智を集めていち早く収束することを願っています。そして、今や私達の生活と日本の経済に欠かせない原子力発電が、再び安全に稼動することを祈るばかりです。(おわり)
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