琵琶湖・沖島謎解き紀行(環境船めぐみ号に乗船して)
                                              主担研究員 三浦 正紀  
 はばたこう会・すいすい主催「秋のめぐみ号満喫ツアー」なるイベントへの誘いを受け、二つ返事でOKしました。
 環境=観光船「megumi」には今年2月に一度乗船しましたが、その時は天候が悪く予定していた沖島への上陸は叶いませんでした。今回参加した一番の理由は、前回果たせなかった沖島へ上陸し、私自身が動ける間に何とか解決したいと願う多くの課題のうち、沖島に係る二つのことを実地に確かめたいということでした。
※ 第1目的: 手塚治虫原作の漫画「火の鳥・異形編」をご存じでしょうか。その物語の舞台、蓬莱寺は戦国領主八儀家正の居城(京都側)と琵琶湖を挟んだ対岸にあるとの設定ですが、蓬莱という名前からして対岸ではなく島ではないかとの思いを持ち続けていました。島だとすると対岸までわずか1.5kmの沖島に違いない、確認に行く価値はある。
※ 第2目的: 高島や湖南中部での下水の高度処理施設は既に視察ずみ。沖島での生活排水処理はオキシデーションディッチ法に生物的消化脱窒と凝集剤添加を加えた高度処理を実施しているとのことですが、管理はだれがやっているのか、余剰汚泥の処理はどうしているのか、自分の目と耳で確認したい。
 琵琶湖へは30〜40歳代の頃は職業柄ほぼひと月に1回は足を運んでいましたが、そのほとんどが南湖でしたので、思いいれとは裏腹に沖島へ行く機会には恵まれず、今回が初めての上陸です。
沖島の読み方は私の記憶ではオキノシマと思っていましたが、島根県の隠岐の島と混同しないように今ではオキシマという呼び方が定着しているようです。
 約450人が居住する有人島で、生徒数より教職員の方が多いのではと言われるどこか懐かしい明治時代を彷彿とさせる木造の近江八幡市立沖島小学校が来訪者を優しく迎えてくれます。淡水湖に浮かぶ島に人が住んでいるという例は日本では
 
 
唯一だそうで、島民は自家用車並みに、一軒に一隻以上の船を所有しています。家屋は山と山の間にある僅かばかりの平地にそれぞれの軒が接するくらいに密集して建てられています。
 沖島の歴史は古く、伝承によれば、保元・平治の乱に敗れた清和源氏の流れを汲む落武者が島を開拓し、定住したのが始まりと伝えられています。湖賊(海賊)の根拠地でもあり、島で会った古老の話では、「昔は行きは良いよい、帰りはどうなるか分からんというほど恐れられていた」とのことで、外部との接触は殆どなかったそうです。このため同じ名字の家ばかりが並び、人を区別するには名字ではなく名前で呼び合うそうです。
 さて、「温暖化PT」の例会を強引に変更させてまでも足を運んだ「沖島での2つの目的の達成は如何に。
 まず第一目的、この物語の主題「輪廻転生」を語るには、どこからでもすぐに湖が見えてしまう沖島はスケールが小さすぎる、深山幽谷の趣がない、舞台としてはやはり長命寺当たりかなあ、これ私の結論。推理作家には無理なようです。
続いて第2目的、上陸時間わずか1時間の中で、小学校や奥津島神社を回り、古老の話などを聞いているうちに早や出向時刻、残念。ただ、設置場所の見当は付けて置きましたので、次は堀切港からの渡船を利用し単独行動で私の疑問の解明に再挑戦することとします。
近江八幡市と沖島地図
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